QED ~ventus~ 熊野の残照 読了

QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)

QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)

 伝承にまつわる謎を考察しつつ歴史を辿る桑原崇と棚旗奈々の旅ミステリー、「QED」シリーズ第10弾。
故郷を捨てた神山禮子と共に、和歌山・熊野を舞台に牛王宝印に秘められた八咫烏の正体と熊野三山の謎を解いていきます。

QEDシリーズの中では「ventus」は2冊目だけど、どうやらこれは、観光案内、旅情小説、味付けに歴史ミステリというちょっとかろやかなテイストのものらしい。(「ventus」はラテン語で「風」を意味する言葉だそうだ)
しかも今回は崇たちが事件に遭遇しない珍しいパターン。なので当然のように、神社仏閣を回るりながら、博学博覧の薬剤師、桑原崇の講義に始終する形です。
しかも、作中の語り手が熊野出身(でありながらそれを隠そうとしている)の神野禮子という初登場のキャラクター。シリーズのなかでも珍しく、崇や「講義」の受け手である棚旗奈々たちを第三者的に見るという、読者視点的にストーリーが展開。
神野禮子の「どうしてこの男はそんなことまで知っているのだ」という感想に、思わず「まったくだ」と吹き出してしまった。

神野禮子の語りを利用した叙述トリックがミステリーと云えばミステリーかも知れないけど…どうやら次の『QED 神器封殺』へのプロローグでもあるらしい。
…というわけで、さっそく読み始めました。

QED 神器封殺 (講談社ノベルス)

QED 神器封殺 (講談社ノベルス)

それにしてもQEDシリーズを読むと自分の知識のなさと頭の悪さにイライラする。何度も目にしている文字列なのに読みが解らなかったり、説明されたはずの関係性を見落としたり…これじゃ絶対
桑原崇のような考察も講釈も出来るわけがない。